ふとした行動が興味を開きさらに世界を広くする

 ふとした行動が自分の興味を刺激し、さらに興味が広がった事例を解説します。

乗馬に興味を持ったことで、モンゴルとその歴史、ソ連・中国・モンゴルの関係、中国の少数民族問題などに具体的に目を開かされた。以下

2016年1月11日66歳の誕生日の直前、たまたまふと見かけた乗馬クラブの体験乗馬教室に参加した。時間つぶしに体験してみようと思ったにすぎない。たった45分の実体験だったが、終了後身体が軽くなった気がした。

www.uma-crane.com

従来から脊椎管狭窄症・坐骨神経痛などの気があり、一時は「間欠性跛行」の症状に悩んだこともある。当時脊髄のX線写真からは鮮明に骨すべり症の状況も確認できた。身体が軽くなったのは体幹に刺激を与え、緊張がほぐれたたことが遠因かもしれない。

友人に乗馬について話したら、貴族のスポーツで興味深いがそれなりの金がかかると言われた。とにかく乗馬に親しむことを前提として、とりあえず書籍などで情報を収集するとともに、近隣の乗馬クラブなども訪問した。従来から読書記録をつけていたので、乗馬を含んでいる書籍タイトルを確認してみると、以下の様だった。全て読了日は乗馬体験以降であるので、積極的に読んだのだろう。

タイトル 著者 出版日_発売日_ 読了日
乗馬トレッキングに行こうっ―初心者による超初心者のための乗馬読本 布襟田 円 2006-01 2016-02-17
乗馬はじめました。: 乗馬クラブの選び方・通い方からライセンスの取り方までがよくわかる 平島 文江 2013-09-13 2016-02-24
乗馬をはじめよう―16POINT 出会いから乗馬まで   1991-10 2018-05-07
乗馬のためのフィットネスプログラム―74のエクササイズと18の準備運動 Dianna Robin Dennis, John J.McCully, Paul M.Juris 2017-12-18 2018-05-18

読みすすめて初めて乗馬は馬の調教を前提とし、調教には古くからの歴史があることを 認識した。自分が参加した乗馬クラブは、英国式(English)と称されるもので、馬場馬術・障害飛越などを指導目標にしているようだった。もちろん華麗なスタイルで障害物を越えることもいいが、西部劇のように馬と共に行動し焚き火の横で寝入ってしまうような様式にもあこがれた。またモンゴルには馬を伴った独自の草原生活と文化があることも再確認した。

2016年7月7日にカウボーイ式(American)の乗馬トレッキングを行っているクラブで、指導者と共に2時間ほどの林間トレッキングを楽しんだ。終了後、指導者の馬を中心にした世界観を聞いた。彼の話で印象に残ったことは日本の馬の調教文化は敗戦時に陸軍が資料を燃やしほとんど潰えてしまったということだ。

Moon River Horse

 

特定のクラブ会員になって日常的に乗馬に親しみたいという気持ちはあったが、逆にクラブに固定されるためクラブの雰囲気・アクセスのしやすさなど事前に十分な検討が必要だった。一方、入会したクラブに固定されずいろいろなクラブを訪問し、オーナーの世界観などを聴くことも楽しいと思い始めた。

2017年3月28日に、流鏑馬技術などの普及とともに木曽馬の積極的な維持に努めているというクラブで3時間のトレッキングを行った。まだ残雪の残る時期で、馬の蹄の裏側に詰まった雪が突然剥がれ姿勢を崩す、木から落ちてくる雪の音に驚いて騒ぐなど、さまざまな場面で馬の制御技術の未熟さを再確認した。

紅葉台木曽馬牧場ホームページ

これような体験・読書なども含めて、またハイキングや散歩時などによく見かけていた「馬頭観音」にも、身近に馬がいた最近までの生活感を感じ始めてきた。併せてチンギスカン以来の伝統で今でも身近に馬のいる生活を送っているモンゴル高原での乗馬に興味を持ち始め、とりあえずパックツアーなども確認し始めた。

突然以下のツアーが目に入り、6月3日に渋谷・オリンピックセンターでの乗馬旅行説明会に参加した。

奔流中国~モンゴル・シルクロードを「馬」で旅するキャラバンの旅~ -

 実はこの時モンゴルにはなんとなくあこがれていたものの、内モンゴル外モンゴルの違いも具体的には認識していなかった。とにかく乗馬に特化したツアーに参加することが目的だった。このツアーでは参加者が馬で草原上の集団行動を行うようだ。大学生を顧客の大きなターゲットとし、旅費を安価にする意味でも大阪・上海間の往復フェリー利用、上海と内モンゴルの州都・呼和浩特間の往復は往路寝台列車・帰路新幹線と寝台車、呼和浩特からはバスと馬の行動で、一般のホテル利用の宿泊は呼和浩特での一泊のみであった。大阪港発8月4日着8月17日の日程で参加した。

内モンゴル・蒙古の呼和浩特漢民族がほとんどで、周辺の草原にも井戸を中心にした灌漑網が整備されつつあり、漢民族は草原を耕地に替え農耕を進め、馬などを自由に放牧できる草原は減少しつつあるように感じた。このため走り抜けることのできる草原もしばしば牧場として立ち入りが禁じられているようだ。ツアーは大草原の乗馬教室という名称で、実際最後には草原を1日で50㎞程度の距離走り抜けることが出来た。

モンゴルでは去勢された馬を利用し、群れ行動としての従順な性格を利用している。リーダーについていけばいいという意味で単純な行動であった。行き帰りに訪れた呼和浩特の駅の警備の厳重さに驚いたが、中国の少数民族の問題はよく話題に上るチベットウイグル自治区のみならずモンゴル自治区でも例外ではない様だった。

このツアーへの参加目的のひとつは、自分の行動ルートを特に国外でGPSで確認しようとするもので、実際毎日の行動距離をGPSで実感できた。

www.yamareco.com

参加した大学生など若い人たちも、僕のような「高齢者が馬での集団行動に一緒に付いてきているのを見ると自分も頑張ろうという気持ちを再確認した」といわれ、僕と同世代の自分の父親の話など行動中の共感を増幅させた感がある。来年にはこのツアーの一環である、グレートトラバースと称するツアーに参加しさらに進化させたいと決心していた。

「モンゴル」というタイトルに含まれる読書記録を確認すると、帰国した2017年8月17日以降に、過去の日本軍と関連する事項を含めかなり興味を惹かれたようだ。現代中国のなかでチベット民族などとの確執などに接することも多く、逆にモンゴル自治区少数民族としては中国の優等生であると感じていたためか、初めて接する情報も多かった。

タイトル 著者 出版日_発売日_ 読了日
回想のモンゴル (中公文庫) 梅棹 忠夫 2011-08-23 2017-06-02
ラクル・ジャーニー わが子を癒したモンゴル馬上の旅 ルパート アイザックソン, Rupert Isaacson 2010-04-09 2017-06-28
オーロラを見に行こう!―アラスカ/ペルー/チベット/内モンゴルの旅 岩井 律子 2003-05 2017-07-21
内モンゴルの草原日記 和田 正信 1999-07-01 2017-07-21
内モンゴルを知るための60章 (エリア・スタディーズ) ボルジギン ブレンサイン 2015-08-01 2017-08-20
人類学者は草原に育つ: 変貌するモンゴルとともに (フィールドワーク選書) 小長谷 有紀 2014-05-26 2017-10-01
日本陸軍とモンゴル - 興安軍官学校の知られざる戦い (中公新書) 楊 海英 2015-11-21 2017-10-07
北京と内モンゴル、そして日本――文化大革命を生き抜いた回族少女の青春記 金佩華 2014-03-24 2017-10-07
チベットに舞う日本刀 モンゴル騎兵の現代史 楊 海英 2014-11-13 2017-10-24
モンゴルの二十世紀―社会主義を生きた人びとの証言 (中公叢書) 小長谷 有紀 2004-08-01 2017-10-30
中国とモンゴルのはざまで――ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢 (岩波現代全書) 楊 海英 2013-11-20 2017-11-04
墓標なき草原(上) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録 楊 海英 2009-12-18 2017-11-06
墓標なき草原(下) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録 楊 海英 2009-12-18 2017-11-27

 

モンゴルに関連し、既に鬼籍となった職業軍人の父親が、「ノモンハン事件」が初めての戦争参加体験であったことは聞き覚えていた。また帝国陸軍が強力なロシア軍の前に歯が立たなかった初めての悲惨な戦いであり、司馬遼太郎が明治の日本が最終的に太平洋戦争に突き進んだカギがノモンハンにあるとして調べていたことなども聞き及んでいた。

帰国した2017年8月17日以降あらためて興味を持った。以下が「ノモンハン」というタイトルに含まれる読書記録

タイトル 著者 出版日_発売日_ 読了日
はじめてのノモンハン事件 (PHP新書) 森山 康平 2012-01-14 2016-01-05
ノモンハンインパール―地獄から帰って来た兵士 (無名戦士の記録シリーズ) 辻 密男 1988-01 2016-04-05
遙かなるノモンハン 星 亮一 2004-11-01 2017-12-11
ノモンハン秘史 新書版 辻 政信 2016-12-02 2017-12-17
ノモンハン 隠された「戦争」 (NHKスペシャルセレクション) 鎌倉 英也 2001-03 2018-06-05
茫漠の曠野 ノモンハン 本草 2017-08-15 2018-07-29

改めて「ノモンハン」そして「インパール」に参戦した父親の生前の記憶を聞いておけなかったことが悔やまれた。もちろん何も話さないかもしれないが、以下の書籍の話題に引き出し方に感動した。

生きて帰ってきた男: ある日本兵の戦争と戦後 - 小熊英二 - Google ブックス

以下のテレビ番組も興味深く確認した。

NHKスペシャル | ノモンハン 責任なき戦い

NHKスペシャル | 戦慄の記録インパール

またタイトルに「モンゴル」や「ノモンハン」が含まれる読書記録以外でも、モンゴル・ノモンハン・乗馬などに関連した読書記録情報があるが、読了時のメモから確認してみた。

タイトル 著者 出版日_発売日_ 読了日
137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史 クリストファー ロイド 2012-09-01 2013/11/07
あるきにすとの法則―至福の歩き究極の歩き 辻本 公一 2006-12 2013-12-06
旧日本陸海軍の生態学 - 組織・戦闘・事件 (中公選書) 秦 郁彦 2014-10-09 2015-02-15
精神科医が教える 心が折れない楽しいひとり老後 (晋遊舎新書S02) 保坂 隆 2012-03-17 2016-01-13
入門ガイド 楽しい野外騎乗 山口 佳男 1995-07 2016-03-03
ラニー・ギア 私の自転車物語 土屋 朋子 1996-10 2016-08-17
フィールドワーク最前線―見る・聞く・歩く 山田 勇 1996-10 2017-07-29
人民服を着た青年海外協力隊員―率先垂範、中国トップマラソンランナーまで育て上げた杉本コーチの実記録 小松 征司 2001-03 2018-03-22
火の賜物―ヒトは料理で進化した リチャード・ランガム 2010-03-26 2018-04-06

例えば「137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史」の読書メモの一部には、「モンゴル軍は兵士も家族も行動を共にし集団となって移動し故郷に戻る必要はなかった。アレクサンドル大王の遠征との違いである」とある。

また「火の賜物―ヒトは料理で進化した」では「13世紀のモンゴル人の戦士は10日間一度も日をおこさずに馬に乗り続けた。食べるものは乗った馬の血管を刺して得る生き血だった(マルコポーロ)。しかし緊急事態でないと血の食事をとるのは嫌いだった。」とあった。

乗馬から派生した問題意識は、読書などを通してさらに深まった気がした。

今年も以下のツアーに参加しようと考えていた。日程は8/11-8/24(大阪港発着)である。個人的な都合と若干の不安感からとりあえず断念することにした。

www.honryu-china.com

以下のツアーも確認できた。「2018年8.9月の回を募集中です。」ということで、当面2018年8月18(土)-24(金)を募集中だ。企画者は僕の友人の友達で、会ったこともあると思う。前回は内モンゴルだったので今回は外モンゴルという選択肢もあるが、8月下旬から9月当初にかけて用事を入れたため煩わしい気もしている。

 

www.furowork.net

最近読書記録もつけるようにしたこともあり、自分の最近の興味の変遷などが再確認できた。

以下は、2018年5月15日に秩父での乗馬体験です。

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www.kuriostable.jp