介護を社会化し個人的な負担の解消

今後介護は団塊の世代が80歳を迎えたとき、その子供たちが50歳で社会の中核となっている。したがって、個人が抱え込むことになると、社会への影響が大きいことが指摘されている。実際、母親の介護については、精神的・時間的に負担が多かった気がする。介護休暇制度ができた時、被介護者が亡くなるまで負担が多くなれ減ることがない介護についての休暇の意義について疑問を感じていた。しかし以下の本を読んで認識を改めた。

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用

すなわち、介護休暇は介護に専念するための制度ではなく、仕事と介護の両立のための準備を行う制度と捉えるべきであると強調していた。親の介護認定の取得、同居などに備えた段差解消などのための住宅改修、介護認定後にケアマネージャの選定・介護計画の策定などを行い、介護者が介護環境を整備する期間であると説明していた。介護保険制度によって介護と勤務が両立することを支援する仕組みであることを初めて認識した。介護作業に必要な資金も具体的には被介護者が支出すべきであり、その準備が整っているか具体的に確認すべきである。

同書に、要介護者認定数(厚生労働省介護保険事業状況報告」)および要支援・要介護者/被保険者比率(「国民生活基礎調査」要介護レベル別年齢階級別内訳に基づく)が記載されていた。男女年齢別の介護認定者割合からは、80歳以上の要介護者の増加また90歳以上の女性の要介護者多さが顕著であることが示されている。すなわち80歳以上になると女の方が若干の障害を負いながら長く生きていくということかもしれない。80才から徐々に介護度が進行した母親の例は特別なものではことが理解できた。

年齢幅/要支援・要介護者/被保険者比率% 男(女)
年齢幅/比率% 男(女)
65-69/03.6 (03.4)
70-74/07.2 (06.4)
75-79/12.7 (14.7)
80-84/27.6 (30.1)
85-89/43.7 (52.4)
90-    /54.7 (72.5)

出典:厚生労働省介護保険事業状況報告」要介護者認定数および「国民生活基礎調査」要介護レベル別年齢階級別内訳

ちなみに近所に暮らす92歳の高齢者は娘さんと二人暮しだ。昼間仕事に出ている娘さんは、父親に介護認定を受けるように勧めも拒否しているそうだ。時々姿をもかけるが、腰が曲がってしまっているものの一人でゆっくりした足取りで歩いている。同年齢の半数弱の人が介護認定を受けずに暮らしているので、そのまま元気に暮してほしいものだ。一方万一介護が必要になった時には介助責任者は介護休暇で対応することになるが、十分な情報の提供など受ける側を含め理解が重要だと感じた。